海外コラム

租税条約による減免後の外国税額控除

例えば海外企業から配当を受け取る場合で、その配当源泉税に対して租税条約の軽減税率が適用されている場合には、外国税額控除を適用できる金額はどうなるでしょうか?

数値を置いてみましょう。相手国で生じた配当収入100に対して、租税条約の軽減税率15%が適用された結果15の源泉徴収されている場合です。この場合には、二重課税による外国税額は15ですので、外国税額控除を受ける金額は15です。つまり租税条約による軽減後の税金が外国税額控除の対象となります。

では、相手国で生じた配当収入100に対して、租税条約届出書の提出を失念した等の理由により、相手国の現地法に従って20の源泉徴収がなされた場合はどうでしょうか。

実はこの場合には、日本で認められる外国税額控除は15だけとなります。法人税法上で、軽減税率を超える部分に相当する金額は、控除対象となる外国法人税の範囲から明確に除かれています(法人税法施行令142条の2第8項第5号)。

そうすると、外国税額控除の適用対象外となる部分が生じます。上記の数値例でいえば、5(20-15)がその部分となります。こちらについては、外国税額控除の適用を受けることはできませんが、損金とすることになります。

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