海外コラム

非居住者による電子申告・電子納税

確定申告お疲れさまでした。個人の納税者の方は、ご自身で行う方はもちろん、税理士に依頼する場合であっても様々な書類を準備したり、出来上がってきた見慣れない資料(申告書)を確認したりと、大変であったかと思います。

さて、非居住者、つまり1年以上の予定で海外に滞在している方等はどのように確定申告をするのでしょうか。前回の記事のとおり、納税管理人を通じて確定申告するのでしたね。

とはいえ今はネットの時代。今回の確定申告において電子申告(e-Tax)にチャレンジしようとした非居住者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。国税庁のHPの月間アスランキングでは、「e-Tax」のコーナーが、ランキングトップの「確定申告書等作成コーナー」に続いて2位に位置付けられていました。あるいは、日本に立ち寄ったついでに紙の申告書を税務署に提出されようとした方もいらっしゃるかもしれません。

ところがです。原則として非居住者には自身による確定申告書の提出は認められていません。前回の記事の通り、非居住者が確定申告や納税等の事務を行う必要がある場合には、納税管理人を選定しなければならないからです。

納税管理人を定めた国税通則法117条1項は以下の通りです。
「個人である納税者がこの法律の施行地に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若しくは有しないこととなる場合(中略)において、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、その者は、当該事項を処理させるため、この法律の施行地に住所又は居所を有する者で当該事項の処理につき便宜を有するもののうちから納税管理人を定めなければならない。

したがって、もしe-Taxにより海外から電子申告する、海外から郵送により紙の申告書を提出する、あるいは一時帰国して自ら紙の申告書を税務署に持参して提出する、、、などを行ったとしても、正式に受理されない可能性があります。つまり確定申告書として受理されていない可能性があります。これに気付かず提出したつもりになっていた場合、最悪ケースでは無申告になってしまいます。気づいて慌てて提出した場合でも、3月15日に間に合わなかった場合には期限後申告となり、やはり無申告加算税の適用対象となってしまいます(一定の要件を満たした場合には対象外となります)。

上記は申告書の提出についての話ですが、納税に関しても同じことが条文上からは言えます。すなわち、納税についても納税管理人を通じて行う必要があります。もし非居住者である納税者が電子納税やクレジットカード納付を行ったとしても、正式には受理されない可能性があります。

なお、申告・納税のいずれについても受理されない「可能性」と書きました。条文上は確かに上の通りになっているのですが、いくつかの税務署に匿名で問い合わせてみたところ、対応が曖昧なところもあったためです。なお、非居住者の申告数が日本で最も多いであろう都内の某税務署では条文通りNGという回答でした。税理士や管轄の税務署に確認をしてみることが望ましいです。

国税庁はIT化や国際化に積極的に取り組んでいると思われますが、この点についても積極的に対応をお願いしたいところです。

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