海外コラム

非居住者に対する役務の提供(消費税)

消費税は国内で行われた取引を対象として課される税金です。ただし国内で行われた取引であっても、輸出取引等、非居住者に対して行われたものは免税となります。内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくものです。消費税は、国内において消費される財貨やサービスに対して税負担を求めることとしている(このことを「消費地課税主義」又は「仕向地課税主義」といいます。)ことから、輸出して外国で消費されるものや国際通信、国際輸送など輸出に類似する取引については、消費税を免除することとされているのです。

もっとも、全ての非居住者向け取引が免税となるわけではありません。

最近は日本の各地で訪日外国人観光客が増加しています。では彼らに対して免税店でお土産を販売する場合にはどうなるでしょうか?これについては基本的には免税となります。一定の方法で販売する場合には、消費税が免除されます(パスポートの提示等の要件を満たす必要あり)。

一方で、このような訪日外国人観光客が旅館やホテルに宿泊したり、観光地まで電車等で移動したり、飲食店で食事をした場合にはどうでしょうか。非居住者に対する役務の提供となり、消費税は免税となるでしょうか。
違和感がありますよね。お店側としては日本人に対して提供するサービスと同じサービスを、外国人にも同じように提供しているだけであるにもかかわらず、日本人向けは課税、外国人向けは免税とした場合には、不公平感もありますし何よりもいちいちわけて管理しなければならず、事務手間もかかりそうです。
結論を申し上げると、こういった取引は非居住者に対するものであっても課税となります。消費税法上は、以下のような取引は消費税が免除されないこととされています。

(1) 国内に所在する資産の運送や保管
(2) 国内における宿泊や飲食
(3) (1)及び(2)に準ずるもので、国内において直接便益を受けるもの

上で内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないと書きましたが、逆に言うと日本国内で消費されるものについては、非居住者に対するものであっても消費税の対象となるということです。

したがって例えば、国内に所在する建物などの管理や修繕、理容又は美容、医療又は療養、鉄道やバスなどによる旅客の運送、劇場や映画館などにおける観劇などの役務の提供、国内間の電話や郵便、非課税とされていない日本語学校やビジネス学校などにおける語学教育やビジネス研修などの役務の提供は免税の対象から除かれています。

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