海外コラム

外国税額控除②

海外に子会社を保有しており配当を受け取る場合や、外国の取引先に技術等を提供することで使用料を受け取る場合には、一定の外国源泉税が控除されていることがあります。

たとえば契約書上では使用料を100円としていた場合でも、その20%である20円が源泉徴収され、実際に送金されてきたのは80円という場合です。この場合には取引先である支払者が20円を天引きし、所在地国の税務当局に対してに納付しています。

このような外国源泉税は、日本の税務上は経費として認められますが、外国税額控除を選択することによりさらに税金を減額する効果があります(2019.1.31の記事をご参照ください)。

ただし外国税額控除の計算は複雑で、申告書作成業務においては様々な別表を作成する必要があり手間を要します。
また外国税額控除は法人税条の制度であり、地方税である法人事業税にはありません。したがって、法人税の計算上で外国税額控除を適用する場合には、事業税の所得金額を算定する際には一定の調整が必要になります。このような調整が入ることから、法人税と事業税では所得金額や繰越欠損金の金額に違いが生じることになります。

また、外国に支店を持っている場合には計算はさらに複雑になります。その外国支店に帰属する国外所得を算定する必要があるためです。外国支店に帰属する所得の算定の際には、本国の本店との取引について移転価格税制の考え方を用いて取引金額を決定する必要があります。またなぜその取引価額になったのかを証明する文書の作成も必要になります。つまり移転価格税制と同様の対応が必要になってきます。

支払った外国税額については、外国税額控除の適用を受ける方が経費扱いするよりも、多くの場合で節税効果があります。とはいえ、上記の通り複雑で処理に手間を要することから、外部委託することも多くみられます。また委託先となる会計事務所としても、外国税額控除については通常の申告書作成とは別の追加作業としている場合が多くみられます。よって節税効果との費用対効果を検討することが望ましいです。

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