はじめての海外進出

はじめての海外進出

海外進出の撤退

少子化による人口減少で国内市場の縮小が進む中、大企業のみならず中小企業においても海外進出に対する注目が高まっています。とはいえ、海外市場では日本での成功例がそのまま通用するわけではなく、やむなく撤退を余儀なくされる中小企業も少なくありません。
とはいえ国によっては、撤退することもまた一苦労という場合もあります。撤退方法によっては現地の雇用や税収の減少となることから現地政府・自治体との交渉が難航する場合もありますし、また現地で組んでいたパートナー企業との調整が長引くこともあります。したがって海外進出を検討される際には、出口戦略についてもある程度は押さえておくことが望ましいです。

撤退の主な理由

現地販売の不振、現地パートナーとのトラブル、優秀な現地人材の確保に失敗、競争激化、人件費の上昇、政情・経済不安等があげられます。人件費の上昇や政情不安等は、企業側でコントロールすることは難しいですが、一方で現地で組むパートナーや、現地の人材確保は、事前の調査・準備をしっかりしておくことで一定程度コントロールが可能かもしれません。

撤退基準

どんなビジネスでもそうだと思いますが、初めから赤字が継続することを想定して事業展開することはありません。とはいえ、環境の変化から経営が悪化し、気が付けば大きな赤字を抱えることもあります。このような場合まで想定し、予め明確な撤退基準を設けておくことは望ましいです。具体的には、撤退を検討する目安となる赤字水準(又は利益水準)や期間を明確にしておくことが考えられます。また、撤退した場合の日本親会社への影響等もあらかじめできる範囲で予想しておくことが望ましいです。

撤退の困難さ

いざ撤退を決めた場合であっても、スムーズに進められるとは限りません。現地パートナー企業との調整、現地の労務問題や税務問題等が長期化することや、それらを解決するために多額の費用がかかることもあります。このようなことに備えて、日ごろから現地の問題が生じたときに頼ることができる相談相手(弁護士等の専門家)を見つけておくことが重要です。また、日本人同士のコミュニティにつながりを作っておくことも有益です。

撤退の方法

撤退の方法としては、一般的には株式譲渡、清算があります。
譲渡の場合には現地で事業が継続されるため、労務・税務上の問題は清算の場合に較べて生じにくいと思われます。合弁会社の場合には合弁パートナーが譲渡先となることが多いですが、単独出資の場合には適切な譲渡先がなかなか見つからず、時間だけが経過し損失が膨らんでしまうこともありえます。
一方清算の場合には、とくに単独出資の場合にはパートナーとの調整もなく意思決定自体はスムーズに行えますが、会社がなくなる=現地の雇用や税収の減少となるため、現地自治体等との交渉が長期化するリスクや、思わぬコストが発生するリスクがあります。

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