海外コラム

海外転勤と住宅ローン控除

海外転勤者のような非居住者についても住宅ローン控除を受けることは可能です。たとえば住宅ローン控除の適用を受けている期間に海外転勤となってしまった場合や、海外転勤者が帰国後のことを考えて帰国前に日本に住宅を取得した場合であっても、住宅ローン控除税制が適用されます。

ただし単身赴任の場合と家族を連れていく場合では、住宅ローン控除を受けられる期間が異なります。

単身赴任の場合
単身赴任の場合で、取得した住宅に家族が住み続ける場合には、基本的には海外赴任期間中も継続的に住宅ローン控除を受けることができます。具体的には以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 平成28年4月1日以後の住宅取得であること(非居住者の住宅ローン控除が認められるようになったのは平成28年度税制改正以降であるためです。それ以前については認められていません)
  2. 取得者と生計を一にする親族が、取得の日から6カ月以内にその住宅に入居し、住宅ローン控除を受けようとする年の12月31日まで引き続き居住していること(「生計を一にする」とは必ずしも同一の家屋で生活している必要はなく、生活費等の送金等が行われている場合も含まれます)。
  3. 住宅の取得者である海外転勤者も帰国後には上記親族と共にその住宅で暮らすことが予定されていること

と、ここまで書きましたが、たとえ住宅ローン税額控除を適用できたとしても、そもそも日本で支払う所得税・住民税が無い場合には意味がありません。国内に賃貸不動産を保有している場合にはそれに伴う所得税・住民税が生じていると思われますので税額控除の意味はありますが、給与所得しかない者が海外転勤した場合にはわざわざやる意味はないと思われます。

家族を連れていく場合
家族を連れていく場合には、家族も共に海外で生活するため、日本にある家では生活しないことになります。この場合には住宅ローン控除がいったん中断され、帰国後に再び適用を受けることができます。なお住宅ローン控除の恩恵を受けられるのは住宅取得後の10年間(※)ですが、帰国後に適用を受けられるのは、10年間のうちの残存期間のみとなります。中断があった場合でも延長されません。
なおこの適用を受けようとする場合には、海外赴任の前後で税務署に書類を提出する等の一定の手続きが必要です。

 

なお住宅ローン控除税制は合計所得金額が3,000万円以上ある年については適用を受けられないことになっています。非居住者についてはこれをどう考えるかですが、おそらく国内源泉所得のみをカウントすればよいものと思われます。

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