海外コラム

外国法人や非居住者に対する支払いがあるとき

外国法人や非居住者に対する支払いがある時は注意が必要です。一定の支払については源泉徴収義務があるからです。
外国法人や非居住者に対して国内で支払いを行う者は、原則として源泉徴収義務を負うこととなります。具体的には、支払の際には所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。これを失念した場合には不納付加算税や延滞税の対象となります。
したがって、非居住者等と取引を行った場合で何らかの支払いをする場合には、その対価が源泉徴収の対象となるかを確認する必要があります。国税庁では、特に誤りやすいものとして以下の所得を上げています。
・土地等の対価
・不動産の賃借料等
・工業所有権、著作権等の使用料等
・給与等の人的役務の提供に対する報酬等

土地等の対価
非居住者等から、日本国内にある土地や建物等の不動産を取得した場合、その対価を支払う際に、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。税率は10.21%となっています(※)。
ただし購入者が個人の場合で、以下の要件をいずれも満たす場合には例外的に源泉徴収は不要です。
・自己又はその親族の居住目的の購入であること
・対価の合計額が1億円以下であること
これは、 居住用のために、比較的少額な不動産を譲り受けた個人に対してまで源泉徴収義務を課すことについては適当でないという理由でそうなっています。

不動産の賃借料等
非居住者等から、日本国内にある土地や建物等の不動産を借りる場合、その賃借料を支払う際に、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。税率は20.42%です(※)。
ただし借主が個人の場合で、自己又はその親族の居住目的で借りる場合には、例外的に源泉徴収は不要です。

工業所有権、著作権等の使用料等
国内において業務を行う者が、非居住者等に支払う、工業所有権、著作権等の使用料又は取得の対価のうち、その国内業務に係るものを支払う際には、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません(※)。 税率は20.42%です(※)。

給与等の人的役務の提供に対する報酬等
非居住者に支払う給与その他の人的役務の提供に対する報酬等のうち、国内において行った勤務その他の人的役務の提供に対するものを支払う際には、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません(※)。 税率は20.42%です。

(※)租税条約が適用される場合には、課税が軽減又は免除され、源泉徴収が不要となる場合などがあります。

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