日本の会社の株式を保有する人が、海外転勤等によって非居住者になった場合には、配当金に対して課せられる税金額が日本にいるときよりも小さくなる場合があります。
会社が配当をする場合には、株主平等原則により、非居住者に対しても持ち株数に応じた配当金が支払われることになります。そして税金については、配当の支払いを受ける際に、源泉徴収により一定額が天引きされます。
所得税法によれば、日本の居住者に支払われる配当に対する税率は以下の通りです。
・上場株式等の配当 20.315%(15.315%の所得税+復興税+5%住民税)(※)
・非上場企業の株式等の配当 20.42%(所得税+復興税、住民税はかからない)
(※)発行済株式又は出資の総数又は総額の3%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する非居住者が支払を受ける上場株式等の配当等は除きます。
これが非居住者では異なってきます。
まず、上場株式等の配当については、非居住者の場合には住民税は課せられません。住民税は毎年1月1日現在に住所のある市区町村において、その前年の所得を基準として課税が行われます。ですので、配当を受領した年の翌年1月1日時点で非居住者になっている場合には住民税の納税義務はありません。
さらに非居住者の場合には租税条約を適用することで、所得税+復興税についての減免を受けることができます。もちろん、日本とその非居住者が滞在する国との間で租税条約が結ばれている必要があり、さらに租税条約に配当に係る税率が免除又は軽減される旨の規定がある場合です。
ただしこの免除又は軽減を受けようとする場合には、配当の支払日の前日までに租税条約の届出書等の書類を、その国内源泉所得の支払者を経由してその支払者の納税地の所轄税務署長に提出することとされています。遅れた場合でもあっても、やはり届出書を提出することで後から還付を受けることができます。
なお、日本では上記のような取り扱いとなりますが、滞在先の国では日本の会社から受けた配当であっても、全世界所得に取り込んだうえで現地の所得課税を受ける場合があります。